特定調停とは、一言で言えば、裁判所を使った任意整理手続のようなものです。やることは任意整理に似ています。しかし、違う点があります。それは、裁判所を利用しているという点です。
既にご説明しましたように、任意整理は裁判所を利用しません。あくまでも、債権者と債務者が話し合いで和解する手続です。これに対して、特定調停は、裁判所が関与します。まず、裁判所が債権者と債務者を呼び出します。この呼び出しには、強制力があります。
債権者と債務者は裁判所の呼び出しに応じなければいけません。ここが、任意整理と大きく違うところです。任意整理の場合には、債権者は和解をしたくないと考えているのであれば、話し合いの場にすら来なくても許されます。
しかし、特定調停の場合には、和解をしたくないと考えている債権者ですら、話し合いの場に顔を出さなければいけません。この点で、強制力を働かせるのが特定調停です。しかし、強制力を働かせることができるのはそこまでです。調停委員が提示した和解案を承諾するか、しないかは債権者の自由です。和解案が気にいらなければ、調停は不調に終わります。
この点は、任意整理と似ています。つまり、債権者の同意がなければ、何も解決しないのです。このように、特定調停は、あくまでも話し合いによる解決の場を提供するために強制力を働かせるにすぎないという点を覚えておきましょう。
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